ルカ―楽園の囚われ人たち (電撃文庫)

著/七飯宏隆 イラスト/巳島ヒロシ 電撃文庫 メディアワークス
第11回電撃小説大賞<大賞>受賞作。いろいろあって最後のひとりになった少女と犬とそのほかの人でいろいろあったりして家族の絆を深める話。
あとがきで語られる作者による説明がまったくその通りな気がします。ホントに話者であるコンピュータが自分では頭がいいようにいっておきながら、うかつだし感情的だし、ずかずかと自滅への道を歩んでいきます。そして自分がなにをしてしまったのか、痛みや喪失感を知ることで悟っていきます。家族を守るためにがんばります。その描写がとてもみずみずしくて、いままで気づかなかったことを知り、世界が開けていくのがこちらにも見えてくるようです。一見少女が主人公のようで、まぎれもなくコンピュータの成長物語。
ニッポニアニッポンは外国人がつけた学名なので、ああいう使い方をするのはどうかと思います。というかトキを使った比喩が不要だったように思います。場所が限定されたりで、スケールは小さいです。それはともかくさすがは大賞といえる作品です。